EC・小売が営む通販事業にクレームが集中。美容、宿泊、通信業界も上位に
~悪評・クレームに使われがちな頻出単語も合わせて発表~
AI与信管理サービスを提供するアラームボックス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:武田浩和、以下「当社」)は、この度、10,410社を対象に、2023年上半期にSNS等インターネット上で投稿された各企業に関連する口コミや評判の中から悪評・クレームを抽出し「2023年上半期 インターネット上で悪評・クレームが多い上位15業種」を集計しましたので発表します。また、業界ごとの悪評・クレームの内容を解析し、頻出単語の集計をしましたので合わせて発表します。
■悪評・クレームの業種別ランキング
■調査背景
スマートフォンやSNSの普及に伴い、誰でも手軽に情報の発信や収集が行える時代となりました。消費者庁が発表した「消費者意識基本調査(※2)」によると、様々な情報収集手段がある中でSNSを情報収集目的で活用している人が84.1%と最も多いことから、多くの人がSNSから情報を得ていることがわかります。このことから、企業はSNSやインターネット上にある悪評やクレームなどの書き込みが事業に悪影響を与えないよう、適切なレピュテーションマネジメントを行い、社会からの評判を維持・向上させる必要があり言えます。
これらを背景として、アラームボックスは、AI与信管理サービス「アラームボックス」の提供を通して得た膨大なネット上の口コミから、インターネット上で悪評・クレームが多い業種やその口コミの傾向を定点調査しています。社会情勢と悪評・クレームの関係性の考察や、クレームに頻出する単語を発表することで、企業がレピュテーションマネジメントに取り組むきっかけとなること、企業活動や与信管理における定性情報の重要性と活用法を啓発していくことを目的として、本調査の実施と発表に至りました。
※2:消費者庁 2022年6月7日「消費者意識基本調査」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/research_report/survey_002/assets/survey_002_220607_0005.pdf
■主な調査結果
ネット上に存在する悪評・クレームの投稿について調査したところ、悪評・クレームが「EC・小売」「美容」「宿泊」に関連する業界について集中していることがわかりました。これらの業界について、頻出単語を抽出し、ワードクラウドとして可視化しました。また、調査結果詳細では、今回の調査でランクインした上位15業種を業界ごとに分類し、クレームの内容を分析・考察しました。
- EC・小売を行う業種が10位以内に6業種ランクイン
顧客との接点が多いEC・小売を行う企業に対してのクレームが多い傾向にあることから、上位10位以内に6業種がランクインしていました。最頻出単語は「商品」であり1,100回以上使われていました。その他は、「購入」「残念」「対応」「発送」といった単語が続き、商品に関するクレーム以外では、ショップの対応や配送関連のトラブルについての言及が頻出しました。
- 美容に関連する業界では「施術」に対する口コミが最多
エステサロンや美容クリニック、化粧品の製造販売など、美容に関連する3つの業種がランクインしました。最頻出単語は「施術」であり、次点で「予約」となりました。エステや美容院、クリニックの施術に関する口コミや、予約の取れにくさに対する口コミが多く発生しています。
- 宿泊業に対するクレームのうち半数が「部屋」に関して言及
コロナ禍が収束する中で、需要が増加している宿泊業が10位となりました。最頻出単語は「部屋」であり、宿泊業のクレームの約半数が部屋について言及していました。他には「残念」「風呂」「ホテル」「朝食」「食事」といった単語が頻出しており、口コミ上では、部屋や風呂、食事についてのクレームが多く発生しています。
■調査結果詳細
【EC・小売業界】
該当業種:1位 無店舗小売業(通販事業)/2位 その他の小売業(家具、化粧品、中古品小売業など)/3位 各種商品小売業(百貨店、総合スーパー)/6位 織物・衣服・身の回り品小売業(アパレル、寝具販売)/7位 各種商品卸売業(多品目の商品を卸す商社)/8位 機械器具小売業(自動車、自転車、家電販売)/12位 飲食料品小売業(食品スーパー、コンビニ、健康食品販売など)
※()内は主な事業
過去の調査に引き続き、通販事業を主力する無店舗小売業が1位という結果でした。また、昨今は小売や卸売を行う多くの企業が通販事業を展開していることから、様々なジャンルの小売業が上位にランクインしました。
クレームの内容としては、購入した商品に関する不満、配送や梱包に関する不満が多く発生していました。また、これらの不満から問い合わせをしたところ十分な対応を受けられなかったとして、新たなクレームに繋がっているものが多数見受けられました。企業は通販事業を展開することで場所や時間を問わず販売活動を行える利点はありますが、その分クレームの件数が増えることを念頭に置き、レピュテーションマネジメントを行う必要があります。
【美容に関連する業界】
該当業種:4位 洗濯・理容・美容・浴場業(美容院、エステなど)/5位 医療業(病院、美容クリニック、医療脱毛など)/9位 化学工業(化粧品メーカー、理容用品メーカー、製薬会社など)
美容院やエステ、化粧品メーカーなど美容に関する事業を展開する企業にクレームが発生していました。なお医療業は、美容外科や医療脱毛など、自由診療の美容クリニックに多くの悪評・クレームが集中していた為、今回は美容に関連する業界として扱いました。
悪評・クレームの内容は、美容院や美容クリニックの施術後の仕上がりに関するもの、脱毛エステやクリニックの予約の取りにくさに関するもの、化粧品や健康食品の効果に関するものが多く投稿されていました。また、3つの業種に共通するクレームとして契約の説明不足に関するものがあり、「契約前に聞いていた内容と違うサービスを受けさせられた」「強引に勧誘され契約するまで帰してもらえなかった」「普通に購入したはずが、いつの間にか定期購入の契約になっていた」など、顧客が企業に対して不信感を持ちクレームを書き込んでいる様子が見られました。
【宿泊業】
該当業種:10位 宿泊業(ホテル、旅館)
コロナ禍が収束する中で、需要が回復傾向にある宿泊業に悪評・クレーㇺが発生していました。部屋の状態に関するクレームが一番多く、臭いや清掃面、予約サイトに掲載された写真とのギャップに不満が発生していました。老朽化した施設に対する不満やトイレや風呂の故障や不衛生さを指摘するものも多く、フロントでの待ち時間の長さや配膳の遅さなど、接客に関する不満も発生していました。
これらの悪評・クレームから、コロナ禍で資金余力がなくなった宿泊施設が設備投資に資金を回すことができない状況や、人手不足の深刻化による清掃や接客業務の対応不足が予想されます。
【通信業】
該当業種:11位 通信業(携帯キャリア、ネット回線サービス、プロバイダ代理販売店など)
一部の事業者に集中する形でクレームが発生しており、「回線が人混みに入るだけで繋がりにくくなる」「平日の日中でも通信速度が遅く、土日はほぼ使えない」といった不満が多く書き込まれていました。また、カスタマーサポートに関するクレームも多く、契約内容や回線工事の手配に不満があり、カスタマーサポートに問い合わせた際に満足のいく対応を得られなかったことで、二次クレームに繋がっている例が多く見られました。
【娯楽業】
該当業種:13位 娯楽業(興行場、興行団、フィットネスクラブ、パチンコホールなど)
パチンコホールやゲームセンターなどの遊技場、ジムやヨガスタジオなどのフィットネス関連施設、劇団や映画館運営などのエンタメ関連事業など、様々な娯楽を提供する本業種ですが、特にパチンコホールとフィットネス関連施設に悪評・クレームが多く確認されました。サービスの質に関する投稿や、店員に対するクレームのほか、他の利用客に対する不満が多く見られました。なお、本業種に対しての口コミは、パチンコホールやジム、映画館、劇場など施設提供型のサービスが多いためか地図アプリ上に集中していました。
【飲食店】
該当業種:14位 飲食店(レストラン、居酒屋、専門料理店、カフェなど)
店員に対しての悪評・クレームが多く発生していました。接客態度が悪いといったシンプルなものが多くありましたが、一方で「明らかに人手が足りておらず、忙しさで店員がイライラしているのが伝わる」「オーダーが通っておらず店員を呼んでも来ない」といった人手不足が原因となる口コミも散見されました。コロナ禍になり売上が低下した飲食店の多くがゼロゼロ融資の返済が本格化し資金難に陥った結果人手不足が発生し、それらがオペレーションの不備や接客業務の対応不足につながっていることが予想されます。
【鉄道業】
該当業種:15位 鉄道業(鉄道会社)
列車遅延の多さや、駅員と乗務員の態度に関してクレームが発生していました。また、昨今の運賃の値上げについて苦言を呈しているものも見られました。
■調査概要
調査期間:2023年1月1日〜2023年6月30日
対象企業:アラームボックスでモニタリングしており業種登録がされていた10,410社
対象データ:インターネット上に投稿された口コミのうち、アラームボックスが「悪評・クレーム」と分類したもの
■アラームボックス株式会社
AI与信管理クラウドサービス「アラームボックス」( https://alarmbox.jp )は、スマートフォンやPCから取引先を登録しておくだけで、取引先のリスクや状況変化を自動で知らせてくれるクラウドサービスです。収集・判断の難しいネット上の情報を、与信への影響度を診断したうえでお届けするため、インターネット上の情報を活用した「高精度」な与信管理を、「カンタン」に、「低価格」で導入できます。それにより、取引先の情報収集に関わる業務負荷を大幅に削減し、信用状況の変化をいち早くキャッチして、リスクに迅速に対応できます。
■会社概要
代表者:代表取締役社長 武田 浩和
所在地:東京都新宿区市谷本村町3-22
設立 :2016年6月
資本金:3.36億円
企業サイト: https://alarmbox.co.jp
サービスサイト: https://alarmbox.jp
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